研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

BCGワクチンが肺癌を防ぐ!?

Association of BCG Vaccination in Childhood With Subsequent Cancer Diagnoses

A 60-Year Follow-up of a Clinical Trial

Nicholas T. Usher;Suyoung Chang;Robin S. Howard;et al

JAMA Netw Open. 2019


【要点】

BCGワクチンは現在、承認されている唯一の結核ワクチンであり、一般的に幼児期に世界中で広く投与されている。以前の研究では、BCGワクチン接種集団でのリンパ腫と白血病の増加が見つかった。


【目的】

BCGワクチン試験の二次分析で、BCGワクチン接種が癌発生率と関連していたかどうかを判断する。


【デザイン】

参加者が学区、年齢、および性別による体系的な層別化のもとワクチン群に割り当てられ、その後交互に無作為化された臨床試験の後ろ向き調査(60年の追跡調査)。元の研究は、1935年12月から1998年12月の間に、米国5州の9か所で実施された。参加者は2963人の20歳未満のアメリカインディアンとアラスカ先住民であり、結核感染の既往はなかった。統計分析は、2018年8月から2019年7月の間に実施された。


【介入】

BCGワクチンまたは生理食塩水プラセボのいずれかの単回皮内注射。


【主要評価項目】

主要評価項目は、BCGワクチン接種後のがんの診断とした。喫煙、結核感染、イソニアジド使用、およびその他の基本的な人口統計情報を含む、参加者の健康期間およびリスク要因に関するデータも収集された。


【結果】

BCGワクチン群の1540人とプラセボ群の1423人の合計2963人が参加し、除外後も全員が残った。ワクチン接種は中央値(四分位範囲))8(5-11)歳で実施された。BCGグループの805人(52%)とプラセボグループの710人(50%)が女性だった。フォローアップの時点で、プラセボグループの参加者97人(7%)とBCGワクチングループの参加者106人(7%)の所在が不明になった。総死亡率は、プラセボ群で633名(44%)、BCG群で632名(41%)だった。がん診断の全体的な割合は、リンパ腫と白血病を含め、BCGワクチン群とプラセボ群の間で有意差はなかった(ハザード比0.82;95%信頼区間0.66-1.02)。肺がんの割合は、BCG群vsプラセボ群で比較すると、性別、地域、アルコール乱用、喫煙、結核で補正しても有意に低かった(18.2vs45.4/100,000人年;ハザード比0.38;95%信頼区間0.20-0.74;P = .005)。


【結果】

小児BCGワクチン接種は、アメリカインディアンおよびアラスカ先住民の肺癌発症リスクの低下と関連していた。この発見は、肺がんによる高い死亡率と、BCGワクチン低コストでの入手可能性を考えると、潜在的に重要な健康的意味合いがある。