研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

ダイエットに低糖質・低脂質のどちらが適しているかは未だ不明…

Effect of Low-Fat vs Low-Carbohydrate Diet on 12-Month Weight Loss in Overweight Adults and the Association With Genotype Pattern or Insulin Secretion: The DIETFITS Randomized Clinical Trial.

Randomized controlled trial

Gardner CD,et al. JAMA. 2018.


【要点】

体重の減量を成功させるためには、食事の変更が鍵です。しかし、どのような人々にとっても、他のどの食事戦略よりも常に優れている食事戦略はない。以前の研究では、遺伝子型またはインスリン-グルコースの動きが、食事の影響を変化させる可能性が示唆されている。


【目的】

健康的な低脂肪(HLF)食と健康的な低炭水化物(HLC)食の体重変化への影響を調べることと、遺伝子型パターンまたはインスリン分泌量が減量への食事の影響に関連しているかどうかを判断すること。


【デザイン】

治療の成功と相互作用する因子を調べる食事介入無作為化臨床試験(DIETFITS)には、糖尿病のない肥満度指数が28〜40の18から50歳の成人609人が含まれた。試験登録は2013年1月29日から2015年4月14日までだった。最終フォローアップの日付は2016年5月16日だった。参加者は、12か月のHLFまたはHLCダイエットに無作為に割付られた。この研究では、3つの単一ヌクレオチド多型遺伝子座応答性パターンまたはインスリン分泌(INS-30、グルコース負荷30分後のインスリン血中濃度)が体重減少と関連しているかどうかも調べた。


【介入】

健康教育者は、12か月にわたって22の食事療法に特化した小グループセッションを通じて、HLF(n = 305)およびHLC(n = 304)に関する行動修正介入を行なった。セッションは、長期的に維持され、食事の質に重点をおかれるような、低脂肪または低炭水化物摂取になる方法に焦点を当てた。


【Main Outcome】

主要評価項目は、12か月間の体重変化と、食事の種類と遺伝子型のパターンの間、食事とインスリン分泌の間、食事と体重減少の間に有意な相互作用があるかどうかのとした。


【結果】

ランダム化された609人の参加者のうち、481(79%)が試験を完了した(平均年齢40 [SD7]歳、女性57%、平均体格指数33 [SD3]、244 [40%]が低脂肪遺伝子型、180 [30%]が低炭水化物遺伝子型、平均ベースラインINS-30 93μIU/ mL)。HLFとHLCのそれぞれの食事において、12か月の平均主要栄養素の分布は、炭水化物が48%vs30%、脂肪が29%vs45%、タンパク質が21%vs23%だった。12ヶ月での体重変化は、HLF食で-5.3 kgであったのに対し、HLC食では-6.0 kgだった(グループ間の平均差0.7 kg [95%信頼区間-0.2〜1.6 kg])。12ヶ月の体重減少を伴う食事-遺伝子型パターン相互作用(P = .20)、または食事-インスリン分泌(INS-30)相互作用(P = .47)は有意ではなかった。2つの食事グループ両者に均等に、18の有害事象または重篤な有害事象があった。

 

【まとめ】

この12か月間の減量食の研究では、健康的な低脂肪食と健康的な低炭水化物食の間に体重変化に有意な差はなく、遺伝子型のパターンや、ベースラインのインスリン分泌も減量に対する食事の影響と関連していなかった。これらの2つの一般的な減量食のアプローチでは、2つの仮説的な素因のどちらも、どちらの食事が誰に適しているかを特定するのに役立たなかった。