研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

日焼け止めの成分は想像以上に体に取り込まれている…

Effect of Sunscreen Application Under Maximal Use Conditions on Plasma Concentration of Sunscreen Active Ingredients: A Randomized Clinical Trial.

Matta MK,et al. JAMA. 2019.


【テーマ】

アメリカ食品医薬品局は、日焼け止めの有効成分で体内吸収が0.5 ng/mLより高いもの、または安全性に不安があるものは、発癌性や発達や周産期に与える影響について、非臨床的に毒性評価を実施するべきであると勧告した。


【目的】

4種の市販されている使用可能な日焼け止めの有効成分(アボベンゾン、オキシベンゾン、オクトクリレン、およびエクアムスレ)が体循環に取り込まれるかどうか判断すること。


【デザイン】

アメリカでフェイズ1として臨床薬理学としてランダム化比較試験が実施され、24人の健康なボランティアが登録された。登録は2018年7月から2018年8月まで行われた。


【介入】

参加者は4つのうちいずれか1つの日焼け止めに割り付けられた(スプレー1→6人、スプレー2→6人、ローション→6人、クリーム→6人)。1cm2あたり、2mgの日焼け止めを体表の75%に一日4回、4日間使用し、7日間にわたって各参加者から30の血液サンプルを得た。


【Main Outcome】

主要評価項目はアボベンゾンの最大血漿濃度とした。副次評価項目はオキシベンゾン、オクトクリレン、およびエクアムスレの最大血漿濃度とした。


【結果】

24人の参加者(平均年齢35.5歳、12人が女性、14人が黒人かアフリカ系アメリカ人、23人が今回のテストを完遂)がランダムに割付られた。アボベンゾンの血漿濃度の幾何平均は4.0 ng/mL(変動係数6.9%<値のばらつきが小さい>)であり、スプレー1では3.4 ng/mL(変動係数77.3%<値のばらつきが大きい>)、スプレー2では4.3 ng/mL(変動係数46.1%)、ローションでは1.8 ng/mL(変動係数32.1%)であった。オキシベンゾンは換算値で、スプレー1では209.6 ng/mL (66.8%)、スプレー2では194.9 ng/mL (52.4%)、ローションでは169.3 ng/mL (44.5%)だった。オクトクリレンでは、スプレー1では2.9 ng/mL (102%)、スプレー2では7.8 ng/mL (113.3%)、ローションでは5.7 ng/mL (66.3%)、クリームでは5.7 ng/mL (47.1%)だった。1日目で4物質全てで全身濃度が0.5 ng/mLをこえる値に到達した。最も一般的な副作用である皮疹は、ひとりの参加者で全ての日焼け止めに対して発生した。

 

【まとめ】

健康なボランティアが参加した今回の準備研究では、4種の市販されていて使用可能な日焼け止めを最大限に利用することで、血漿濃度が「日焼け止めの非臨床的毒物研究を潜在的に避けるためにFDAが定めたしきい値」をこえて上昇した。日焼け止めの原料成分がどれだけ体に吸収されるかという情報は、吸収率に関する臨床的意義を問う、より深い研究の必要性を高めた。これらの結果は日焼け止めを使うのを避けるべきだと示しているわけではない。