研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

早く産まれることは腎機能低下のリスク

Preterm birth and risk of chronic kidney disease from childhood into mid-adulthood: national cohort study.

Crump C,et al. BMJ. 2019.


【テーマ】

早産(在胎週数37週未満)であることと、子供の時期から中年期にかけてCKDになるリスクとの関係性を調べた。


【デザイン】

国際的コホート研究


【研究対象】

1973〜2014年にかけてスウェーデンで出生した、多胎児ではない4186615人。産まれた時の在胎週数はスウェーデンの出生登録にある全国的な記録を元に特定した。


【Main Outcome】

全国規模で入院患者、外来患者の内、2015年にCKDと診断を受けた人を特定した(最高年齢は43歳だった)。出生までの在胎週数と、「元々有していた交絡」や「定量的に評価できない家族的な要素(遺伝的、環境的要素)の影響を評価する調査」を元に補正したCKDのリスクを調べるため、Cox回帰分析を使用した。


【結果】8700万人をフォローアップして、そのうち4305人(0.1%)がCKDと診断された。早産あるいは超早産(<28週)の児は、産まれてから中年期に至るまでの期間でCKDリスクが2倍〜3倍ある(それぞれ、早産では修正ハザード比1.94、95%信頼区間1.74〜2.16/超早産では修正ハザード比3.01、95%信頼区間1.67〜5.45)。早めに出生した児(37〜38週)でさえも、リスクの増大が認められた(修正ハザード比1.30、95%信頼区間1.20〜1.40)。早産とCKDの関係性は0〜9歳で特に強く(修正ハザード比5.09、95%信頼区間4.11〜6.31)、そして次第に弱くなるものの関係性は残り、10〜19歳(修正ハザード比1.97、95%信頼区間1.57〜2.49)、20〜43歳(修正ハザード比1.34、95%信頼区間1.15〜1.57)であった。これらの関係性は男女問わず存在し、家族における遺伝的、環境的要素によるとは考えられなかった。

 

【まとめ】

早産や早めに生まれたことは、小児期から中年期にかけてのCKDを発症する強いリスクファクターであることが分かった。未成熟状態で産まれてきた子供は、生涯にわたって、腎機能を保つために長期間のフォローアップとモニタリングをする必要がある。