研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

ワクチン打つことで、ワクチンでカバーしきれなかった病が増えることはない

Association Between Estimated Cumulative Vaccine Antigen Exposure Through the First 23 Months of Life and Non-Vaccine-Targeted Infections From 24 Through 47 Months of Age.

Glanz JM,et al. JAMA. 2018.


【要点】

一部の親は、幼児期に複数のワクチンを接種すると子供の免疫システムが弱まる可能性があることを懸念している。生物学的データは、ワクチン抗原曝露の増加が、ワクチンの標的ではない感染症のリスクを高める可能性があることを示唆している。


【目的】

生後24か月から47か月までに非ワクチン標的感染があったかどうかで分けた上で、生後23か月までの推定累積ワクチン抗原曝露がそれぞれどの程度か調べる。


【研究対象】

ワクチン安全性データリンクに参加している米国の6つの医療機関で実施された症例対照研究が登録された。救急部門および入院患者において、感染症の国際疾病分類コードに準じて症例が収集され、その後医療記録のレビューにより検証された。ワクチンが標的としない感染症の症例は、年齢、性別、医療機関、および慢性疾患の状態によって対照群と一致させた。参加者は、2003年1月1日から2013年9月31日までの間に生まれた24〜47か月の子供で、2015年12月31日まで追跡調査された。


【暴露】

生後23ヶ月までに受けた各ワクチン用量の抗原の数を合計することにより推定される累積ワクチン抗原ばく露。


【Main Outcome】

生後24か月から47か月までの、上部および下部呼吸器感染症と胃腸感染症を含む、ワクチンが標的としない感染症、およびこれらの感染症と生後23か月までの推定累積ワクチン暴露との関連。条件付きロジスティック回帰を使用して、抗原の推定累積数が30ユニット増加するごとに、ワクチンが標的としない感染が発生する調整オッズ比を推定した。


【結果】

944人の患者(193例人の介入群と751人のコントロール)で、平均(SD)年齢は32.5ヶ月(6.3)、422人(45%)は女性、61(7%)は複雑な慢性疾患を抱えていた。最初の23か月間、推定平均累積ワクチン抗原曝露(SD)は、介入群で240.6(48.3)、対照群で242.9(51.1)であった。推定累積抗原曝露のグループ間差は-2.3(95%信頼区間-10.1〜5.4、P = .55)だった。24か月から47か月までのワクチンが標的としない感染症になった子どもと、ならなかった子どもとの間では、23か月までの推定累積抗原曝露の調整オッズ比は有意ではなかった(調整オッズ比0.94、95%信頼区間0.84〜1.07)。

 

【まとめ】

救急部門の患者と入院している患者の中で、24から47ヶ月の子供で、ワクチンの対象になっていない感染症に罹患した子どもは、そのような病歴がない子供と比較して、生後23ヶ月までの推定累積ワクチン抗原曝露に有意差はなかった。