研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

アプガースコアが正常域でも、やっぱり高ければ高いほどいい

Association between Apgar scores of 7 to 9 and neonatal mortality and morbidity: population based cohort study of term infants in Sweden.

Razaz N,et al. BMJ. 2019.


【テーマ】

1.5.10分値でのアプガースコア7.8.9点と、新生児期の死亡率、罹患率との関係を調査する。


【デザイン】

コホート研究


【研究対象】

スウェーデン。1996〜2016年までの間で、妊娠37週以上の1551436人の奇形のない、多胎出産でなない子供で1.5.10分値のアプガースコア7点以上の人。


【Main Outcome】

1.5.10分値のアプガースコア7.8.9点の患者と、1.5.10分値のアプガースコア10点の患者をそれぞれ比較した。新生児死亡率と新生児感染症や合併症によって引き起こされた窒息、呼吸障害、新生児低血糖罹患率。調整オッズ比、調整比率、95%信頼区間を計算した。


【結果】

アプガースコアが10点であった子供と比較すると、特に5.10分のアプガースコアが低い新生児では、新生児死亡率や新生児感染症、合併症による窒息、呼吸障害、新生児低血糖が多かった。例えば、呼吸障害に関しては1分値のアプガースコアが9点か10点かで調整オッズ比2.0(95% 信頼区間1.9〜2.1)であり、5分値では5.2(5.1〜5.4)、10分値では12.4(12.0〜12.9)であった。呼吸障害に関しては、10分値のアプガースコア10点の子供と、アプガースコア9点の子供を比較すると、調整比率で9.5%(95%信頼区間9.2〜9.9%)であり、アプガースコア7点では41.9%(37.7%〜46.4%)であった。5分値でアプガースコア10点だった子供が10分値で9点へと低下することも、5分値、10分値共に10点だった子供と比較すると、新生児罹患率の確率を上げることにつながった。


【まとめ】

奇形のない子供でアプガースコアが正常域(7〜10点)にある場合でも、新生児死亡率や罹患率のリスクがアプガースコアが低い子供だと高くなり、また5分値から10分値の間でアプガースコアが低下した子供と、アプガースコア10点を維持した子供とを比較した時も同じことが言えた。