研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

好きな時間帯で働いた方が眠気は少なくてすむ

Sleep and Alertness in a Duty-Hour Flexibility Trial in Internal Medicine.

Randomized controlled trial

Basner M,et al. N Engl J Med. 2019.


【テーマ】

義務時間制限の目的は、研修医における睡眠時間の喪失を減らすが、それが睡眠や睡眠不足に与える影響と注意力は大部分知られていない。


【デザイン】【研究対象】【Main Outcome】

アメリカでの63の内科研修プログラムを、2011年でスタンダードな義務時間働くプログラムか、シフトの長さ制限やシフト間の時間制限はない一週間あたり80時間をフレキシブルに働くプログラムかに割り付けた。非劣勢試験を用いて、睡眠時間と朝の眠気、注意力を2つのグループで比較した。加速度センサーを用いてはかった睡眠時間の長さ、カロリンスカ眠気尺度の1(しっかり目が覚めている)〜9(とても眠い、眠気と戦っている)、反応までの時間が遅くなる(失敗する)ことで注意力の減退を評価する精神運動警戒テスト(PVT-B)での簡単な計算を用いた。


【結果】

6つのフレキシブル制度のプログラム病院から205人の研修医、6つのスタンダードなプログラム病院から193人の研修医が選ばれ、14日間データを集めた。24時間中の平均睡眠時間はフレキシブルプログラムでは6.85時間で(95%信頼区間は6.61〜7.10)、スタンダードプログラムでは7.03時間(95%信頼区間は6.78〜7.27)であった。フレキシブルプログラムの人の睡眠時間はスタンダードプログラムの人と比較して短くはなかった(グループ間差、24時間あたり-0.17時間。95%信頼区間の片側下限、-0.45時間。非劣性マージン、-0.5時間。非劣性の場合、P = 0.02)。カロリンスカ眠気尺度では、グループ間差は0.12ポイント。95%信頼区間の片側上限、0.31ポイント。非劣性マージン、1ポイント。P <0.001であった。PVT-Bによる注意力に関しては非劣勢を証明できなかった(グループ間差は-0.3回の失敗。95%信頼区間の片側上限、1.6回の失敗。非劣性マージン、1回の失敗。P = 0.10)。


【まとめ】

この非劣勢試験は、スタンダードプログラムの研修医と比較してフレキシブルプログラムの研修医の方が慢性的な睡眠不足や眠気に襲われやすいことはないと示している。注意力に関しては、フレキシブルプログラムでの非劣勢は立証できなかった。