ワクチン接種と自閉症発症は関係ない
Measles, Mumps, Rubella Vaccination and Autism: A Nationwide Cohort Study.
Hviid A,et al. Ann Intern Med. 2019.
【テーマ】
はしか、おたふく風邪、風疹(MMR)ワクチンと自閉症の関係に関する仮説は、不安材料になり、ワクチン接種への疑問が投げかけられ続けている。
【目的】
MMRワクチン接種後、自閉症のリスクが増大するかどうか評価するため、ワクチン接種からの時間で小集団に分けた。
【デザイン】
国家的なコホート研究
【研究対象】
デンマークで1999年から2010年の12月31日までに産まれた657461人の子供で、1歳からフォローを始め、2013年の8月31日まで続けた。
【Main Outcome】
デンマーク人の登記はMMRワクチンと自閉症の診断、その他のワクチン接種、きょうだいの自閉症罹患歴、自閉症のリスクファクターの情報を繋げるために使用された。自閉症発病曲線、Cox比ハザードモデルが使用して、年齢、生まれた年、性別、その他のワクチン接種、きょうだいの自閉症、(病気のリスク因子に基づく)自閉症のリスク因子で調整された、MMRワクチンによって自閉症が引き起こされるハザード比が計算された。
【結果】
5025754人をフォローアップし、6517人の子供が自閉症と診断された(発生率は129.7/10万人あたり)。MMRワクチン接種者と非接種者を比較して得られたのは、完全に調整を行ったハザード比が0.93(95% CI,0.85 〜1.02)であったということだ。同じように、きょうだいに自閉症がいるかどうか、(疾病リスクファクターに基づく)自閉症リスクがあるかどうか、その他のワクチン接種があるかどうか、ワクチン接種後特定の時期があるかどうかということで分けられたサブグループにおいても、MMRワクチンによって自閉症のリスクが上がらないということが一貫して示された。
【制限】個々人のカルテの見直しは行われなかった。
【まとめ】
今回の研究はMMRワクチンが自閉症のリスクを上げることはなく、自閉症の素因を持っている子供がそれを発症するトリガーにもなり得ず、ワクチン接種後に自閉症の発症が固まっている訳でもないことを示した。このことは以前の研究に明確な追加の統計学的な力を加えるとともに、影響を受けやすいサブグループや集団への説明に使用できる。