研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

ピーナッツアレルギーにパッチ治療は有効とは言い切れない…

Effect of Epicutaneous Immunotherapy vs Placebo on Reaction to Peanut Protein Ingestion Among Children With Peanut Allergy: The PEPITES Randomized Clinical Trial.

Fleischer DM,et al. JAMA. 2019.


【テーマ】

ピーナッツアレルギーに対する治療法で最近承認されたものはない。


【目的】

ピーナッツアレルギーの子供に対する、ピーナッツパッチによる皮膚免疫療法の効果と副作用を評価する。


【デザイン】【研究対象】

2016年1月8日から2017年8月18日の間、5カ国31施設で、フェイズ3、ランダム化二重盲検法プラセボコントロール研究を実施した。二重盲検法プラセボコントロールの食物負荷試験で、ピーナッツ蛋白300mg以下で他覚的症状が現れた患者(4〜11歳で過去に重篤なアナフィキラシー症状を起こしたことがない人)を対象とした。


【介入】

日々の治療として、250μgのピーナッツ蛋白を含んだピーナッツパッチをつける群(238人)とプラセボ群(118人)に分けて12ヶ月継続した。


【Main Outcome】

主要評価項目はピーナッツパッチ群とプラセボパッチ群において、研究開始時点とそれから12ヶ月後の時点で、食物負荷試験においてどれくらいの濃度(他覚的症状や即時の過敏症症状が現れた最大濃度)で反応が出たか、その違いを調べた。研究開始時点で反応が出た濃度が10mgよりも少なかった被験者は、治療実施後に反応濃度が300mgよりも多くなったら、治療有効者とした。研究開始時点で反応が出た濃度が10〜300mgの被験者は、治療実施後に反応濃度が1000mgよりも多くなったら、治療有効者とした。介入に効果があったかどうか判断するため、治療有効者の割合の違いに関する95%信頼区間の下限の15%以上を閾値として、介入が有効だったか判断する基準を事前決定した。副作用の発生に関しては、治療に関連する副作用(TEAEs)は集計した。


【結果】356人(平均年齢7歳、男性61.2%)の参加者はランダムに割り付けられた。89.9%が研究を完遂し、平均の治療遵守率は98.5%だった。治療有効者の割合はピーナッツパッチ群35.3%vsプラセボ13.6%(差は21.7%、95%信頼区間12.4%-29.8%;P < .001)だった。事前に設定していた信頼区間下限の閾値は満たさなかった。主にパッチによって引き起こされたTEAEsは、介入群とプラセボ群でそれぞれ95.4%と89%だった。全ての原因を含む途中中止率は介入群で10.5%、プラセボ群で9.3%だった。


【まとめ】

4〜11歳のピーナッツアレルギーの子供において、12ヶ月250μgのピーナッツパッチ治療をうけた人とプラセボの人を比較すると、アレルギーを起こす人の割合は21.7%の差がつき、統計的に有意な差がついた。しかし、事前に設定した試験結果を支持する信頼区間下限の境界を満たすことは出来なかった。ピーナッツアレルギーがある子供に対する皮膚免疫療法に関して、信頼区間の下限を満たせなかったことから、医療的関係性の有無は判断保留となった。