研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

NO2やPM2.5は喘息の発生につながる

Association of Changes in Air Quality With Incident Asthma in Children in California, 1993-2014.

Garcia E,et al. JAMA. 2019.


【テーマ】

 大気汚染に晒されることは、子供の喘息増悪因子として定評がある。しかしながら、大気汚染が子供の喘息形成に果たす役割に関しては、まだはっきりしないことも残っている。


 地域における大気汚染の改善が子供の喘息を減らすことにつながったのか調べる。


【デザイン】【研究対象】

 大気汚染が減少する期間にかかる、3つの時期の南カルフォルニア子供健康研究からデータを引き出し、多層縦断研究を実施した。それぞれのコホート研究は、4年生から12年生までの8年間(1993-2001,1996-2004,and 2006-2014)実施された。これらのデータのフォローアップは2014年6月に実施された。母集団の募集は小学校で行われた。ベースライン時に喘息の病歴がなく、9つの子供の健康研究コミュニティのうちの1つに住む合計4140人の子供が含まれていた。3つのコホート研究それぞれで、年々の地域での平均オゾンや二酸化窒素、10 μm以下の粒状物質(PM10)、2.5μm以下の粒状物質(PM2.5)を調べた。

 

【Main Outcome】

 フォローアップ期間に行われたアンケートを元にして集められた、喘息を引き起こす要因について前向きに検討した。


【結果】

 4140人の子供が今回の研究に含まれ(ベースラインにおける平均年齢は9.5歳、52.6%が女児で58.6%が白人、42.2%がヒスパニック系)、525の喘息ケースが特定された。二酸化窒素については4.3mg/Lの中央値減少によって、喘息の発生率比(IRR)は、0.80(95%CI、0.71-0.90)であり、100人当たり0.83例の絶対発生率減少を示した。PM2.5については8.1 μg/m3の中央値減少によって、喘息の発生率比(IRR)は、0.81(95%CI、0.67-0.98)であり、100人当たり1.53例の絶対発生率減少を示した。

オゾンについては8.9mg/Lの中央値減少によって、喘息の発生率比(IRR)は、0.85(95%CI、0.71-1.02)であり、100人当たり0.78例の絶対発生率減少を示した。PM10については4.0mg/Lの中央値減少によって、喘息の発生率比(IRR)は、0.93(95%CI、0.82-1.07)であり、100人当たり0.46例の絶対発生率減少を示した。


【まとめ】

 南カルフォルニアの子供では、1993年から2014年にかけての二酸化窒素やPM2.5の減少によって、喘息の発生を有意におさえた。オゾンやPM10に関しては統計的に明らかな関係は認められなかった。