研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

炭水化物抜きダイエットは基礎代謝を上げる

Effects of a low carbohydrate diet on energy expenditure during weight loss maintenance: randomized trial.

Randomized controlled trial

Ebbeling CB,et al. BMJ. 2018.


【目的】

全てのエネルギー消費おける炭水化物・脂肪比を変えた食事の効果について判断する。


【デザイン】

ランダム化試験


【設定状況】

2014年8月から2017年5月にかけてアメリカの2つの施設における多施設共同研究。


【参加者】

18〜65歳のBMI25以上の大人164人。


【介入】

ならしダイエットで12パーセント(誤差2%以内)の体重減少した後、参加者は炭水化物の量によって分けられた3群の内どれか一つにランダムに割り付けられた(高割合,60%,n=54;中割合,40%,n=53;低割合,20%,n=57)。食事はタンパク質によってコントロールされ、体重減少が2kg以内におさまるようエネルギー量を調整された。炭水化物-インスリンモデルから予測できる食変化の効果を測るため、被験者は事前の体重減少以前のインスリン分泌量(経口グルコース摂取30分後のインスリン濃度)に応じて3群に分けられた。


【結果】

ITT解析(n=162,P=0.002)によると、合計のエネルギー支出は食事によって異なり、合計のエネルギー摂取における炭水化物の割合が10%下がるごとに、52kcal/day(95%信頼区間23〜82)の割合で線形増加した(1 kcal=4.18 kJ=0.00418 MJ)。合計でのエネルギー消費量は、高炭水化物食の人は、中炭水化物食の人と比較して91 kcal/day(95%信頼区間-29〜210)多く、低炭水化物食の人は209 kcal/day(91〜326)多かった。per protocol分析では、それぞれの違いは131 kcal/d (-6〜267)と278 kcal/d (144 〜11)だった。体重減少前のインスリン分泌が3群中最も多かった参加者グループ間では、低炭水化物食と高炭水化物食の人達の間でITT解析で308 kcal/day、per protocol解析で478 kcal/dayの差がついた(P<0.004)。低炭水化物食群に割り付けられた人は高炭水化物食群に割り付けられた人と比較してグレリンが著明に低かった(どちらの分析方法でも)。レプチンに関しても同じく、低炭水化物食群の方が著明に低かった(per protocol分析)。

 

【まとめ】

炭水化物-インスリンモデルと一致して、炭水化物割合が低い食事は、体重が減少を維持している間、エネルギー消費を増やす。この食事による効果は、特にインスリン分泌が多い人において肥満治療の成功率を改善するかもしれない。