子供の農薬への暴露は自閉症を増やす
Prenatal and infant exposure to ambient pesticides and autism spectrum disorder in children: population based case-control study.
von Ehrenstein OS,et al. BMJ. 2019.
【テーマ】
発達初期における農薬環境への暴露と自閉症スペクトラムの関連を調べる。
【デザイン】
症例対照研究
【研究状況】
カリフォルニアの主要な農業地域であるセントラル・バレーで1988〜2010年で出生した人のデータを人口統計局から集めた。
【研究対象】
カルフォルニアの発達サービス局に記録が残されている人で、出生時のデータがある人から、DSM-4改訂版に基づいて診断された、2961人の自閉症スペクトラムの人(知的障害が並存している人445人)が選ばれた。コントロール群は出生記録から、性別が10:1の割合になり、出生年が同じになるよう選ばれた。
【Main Outcome】
子供において、農薬への暴露と自閉症スペクトラム罹患率(発達障害の有無は問わない)の関係を、多変量ロジスティック回帰を用いて、交絡を調整して、オッズ比と95%信頼区間で調べた。
【結果】
自閉症スペクトラムのリスクは、子供時代のグリホサート(オッズ比1.16、95%信頼区間1.06-1.27)、クロルピリホス(1.13、1.05〜1.23)、ジアジノン(1.11、1.01〜1.21)、マラチオン(1.11、1.01〜1.22)、アベルメクチン(1.12、1.04〜1.22)、ペルメトリン(1.10、1.01〜1.20)であった。知的障害を合併した自閉症スペクトラムの人では、オッズ比は約30%高値だった。出生前に暴露したもの別に、グリホサート(1.33、1.05〜1.69)、クロルピリホス(1.27、1.04〜1.56)、ジアジノン(1.41、1.15〜1.73)、ペルメトリン(1.46、1.20〜1.78)、臭化メチル(1.33、1.07〜1.64)、およびミクロブタニル(1.32、1.09〜1.60)であった。生後1年間のいくつかの農薬物質の暴露によって、知的障害の併存の確率が最大で50%上昇した。
【まとめ】
同じような農業地域に産まれても農薬への暴露がなかった子供と比較することで、子供の自閉症スペクトラムのリスクは、妊娠中の母親の家の周囲2000mの農薬に産まれる前に暴露することで上昇することが分かった。幼児での農薬暴露は知的障害を伴った自閉症スペクトラムをさらに増やす。