研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

リラグリチドは小児糖尿病にも有効

Liraglutide in Children and Adolescents with Type 2 Diabetes.

Tamborlane WV,et al. N Engl J Med. 2019.


【テーマ】

若年の2型糖尿病においてはメトホルミンは、早い段階で使用を許可された治療法である。しかし、メトホルミン単剤での治療は、早くに血糖コントロール不良になることが多い。メトホルミンに加えてリラグリチドを使用することは(ベースのインスリンを使用した場合と使用しなかった場合でも)若年の2型糖尿病患者に有効かつ安全なのかは知られていない。


【方法】【研究対象】【Main Outcome】

17歳以下の10人の患者がランダムに1:1の割合で割付られ、リラグリチド皮下注射を受ける群(最大で1.8mg/day)と、プラセボ群に分けられた。二重盲検で26週間の試験が行われ、その後の延長分の26週間でフォローを行った。基準としては85パーセンタイルをこえるBMIと、食事療法と運動療法のみでHbA1cが7〜11%の人と、メトホルミンでの治療が(インスリン利用の有無に関わらず)行われていてHbA1cが6.5〜11%の人とした。全ての患者が試験期間中メトホルミンを使用した。主要評価項目は、26週時点でのHbA1cのベースラインからの変化とした。副次評価項目は、空腹時血漿血糖変化とした。試験の期間中は、安全性も評価されていた。


【結果】

ランダム化された135人の患者で、134人が少なくとも1回のリラグリチドの投与(66人)かプラセボの投与(68人)。人口統計学的な特徴は2つのグループで似通っていた(平均年齢14.6歳)。26週目時点での主要評価項目に関しては、リラグリチド投与群では平均HbA1cが0.64%低下し、プラセボ群では0.42%増加した。概算で治療方法の違いによって-1.06%の差が出ており、52週時点ではこの差はさらに広がり-1.30%となった。迅速血漿血糖に関しては、2つのリラグリチド投与群では、エンドポイントどちらでも低下を認めたが、プラセボ群では上昇した。副作用が報告された症例数は、両群でほぼ同じで(リラグリチド群で56件84.8%、プラセボ群で55件80.9%)あったが、全体的な副作用報告や消化器系の副作用に関してはリラグリチド群の方が多かった。

 

【まとめ】

2型糖尿病の子供や青年では、1.8mg/dayのリラグリチド投与(加えてインスリンの有無に関わらず、メトホルミンの投与)は、52週にわたって血糖コントロール改善に有効だった。その利益の代償は消化器系副作用の頻度上昇だった。