研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

低糖の食事は子供の脂肪肝改善につながる

Effect of a Low Free Sugar Diet vs Usual Diet on Nonalcoholic Fatty Liver Disease in Adolescent Boys: A Randomized Clinical Trial.

Randomized controlled trial

Schwimmer JB,et al. JAMA. 2019.


【テーマ】

NAFLDに対する治療として、子供のガイドラインでは健康的な食事が推奨されている。甘い食べ物や飲み物を減らすことがもっともらしいことではあるが、実際のところは証明されていない治療である。


【目的】

砂糖の量を少なく抑えた食事(砂糖は食べ物や飲み物に含まれ、ごく自然にフルーツジュースにも含有されている)によってどのような効果がNADLDの子供達に現れるか判断するため。


【デザイン】

非盲検化、8週間の無作為割付試験で、参加した子供の年齢は11-16歳の今までにNAFLDと診断されたことがあり、活動的な病気であることの証拠がある(脂肪肝>10%かつALT≥45 U/L)子供とした。その子供をランダムに1:1で、介入食事群と通常食事群に割り付けた。2つのアメリカ医療学術研究センターで2015年の8月から2017年の7月まで、行われ、最終フォローは2017年の9月に行われた。


【介入】【研究対象】

介入群の食事では個別のメニューが立案され、8週間の間、日々の摂取カロリーの3%を下回るような糖を摂るよう制限された。週に2回電話連絡をとり、食事の管理ができているか評価した。通常食事群に関してはいつも通りの食事を摂ってもらった。


【Main Outcome】

主要評価項目はMRI検査のPDFF(プロトン密度脂肪分画)における脂肪肝評価のスタート時と8週目の変化とした。最低の医療的有意差に関しては4%と想定した。ALTの変化や食事遵守の程度など、12個の副次的評価項目も用意した。


【結果】

40人の思春期の子供がランダムに介入群と通常食事群に割り付けられ(1グループあたり20人、平均年齢13歳(1.9SD)、一番多いのはヒスパニック系(95%))、全員が試験を完遂した。スタート時から8週目にかけての脂肪肝率は介入食事群で明らかに低下した(介入食事群25%→17%VS通常食事群21%→20%)。そして、8週時点での修正された両者の差は-6.23%だった(95% CI,-9.45%〜-3.02%;P < .001)。12つの事前に設定した副次評価項目は、7つは関連を認めずALTやのレベルや食事ルールを守れているかを含む5つは統計的に関係性を認めた。ALTレベルのスタート時から8週目にかけての低下は、介入食事群(103 U/L→61 U/L)の方が通常食事群(82 U/L→75 U/L)と比較して幾何平均で大きく、また8週時点での幾何平均の調整割合は0.65 U/L (95% CI,0.53〜0.81 U/L;P < .001)であった。介入群での食事管理の遵守率は高かった(20人中、18人は介入期間中糖からのカロリー摂取を3%以下に抑えた)。この研究に参加することによる副作用はなかった。

 

【まとめ】

NAFLDに罹患した思春期の子供を対象とした今回の研究では、8週間にわたる普段の食事よりも低糖な食事を摂るという介入によって、脂肪肝が著明に改善するという結果を得た。しかしながら、これらの発見は予備的であると考えられるべきであり、長い期間と医学的結果を評価した、より詳しい研究が行われることが求められる。