研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

学校の雰囲気でいじめが起こるかは決まる

Effects of the Learning Together intervention on bullying and aggression in English secondary schools (INCLUSIVE): a cluster randomised controlled trial.

Randomized controlled trial

Bonell C,et al. Lancet. 2018.


【テーマ】

子供や若い人たちのの間での、いじめや攻撃、暴力は、重大な社会的精神健康問題の一つだ。そこで、健康増進演習を用いたり、社会的感情的な能力を育むことで、学校の環境を変えようとする努力を含む、共同学習介入を試した。


【方法】

イングランド南東部の中等学校で、3年間に渡って共同学習介入を実施し、標準的な実践を行った群(対照群)と比較することで集団ランダム化試験を行って、経済的評価と経過評価をした。


【研究対象】

共同学習介入には健康増進演習(学校での行動を起こすグループを組織し、その活動を促進すること)についてトレーニングされたスタッフや、学生の社会的感情的な能力を育むカリキュラムを含んだ。主要評価項目は、36ヶ月に渡って調べられた、事後報告性のいじめ被害(ゲートハウスいじめスケールGBS)と、暴力の悪事(エジンバラ若者の過渡期と犯罪に関する研究(ESYTC)学校の不正行為サブスケール)とした。この研究はISRCTNに登録された。


【発見】

40の学校が参加し(それぞれに20人が参加)、途中離脱した学校はなかった。7121人の生徒中、6667人(93.6%)がスタート時点で参加しており、その中で5960人(83.3%)が36ヶ月後も参加していた。36ヶ月時点でのGBSいじめスコアの平均はコントロール群で0.34(SE 0·02)、介入群は0.29(SE 0·02)であり、明らかな調整後平均の有意差があった(-0·03,95% CI -0·06 〜-0·001;adjusted effect size -0·08)。コントロールと比較して介入を実施した学校では、生徒1人あたり£58の追加費用がかかった。


【解釈】

共同学習は小さいが明らかな効果をいじめに対しもたらし、それは公衆衛生にとって重要であるが攻撃性に対しては効果を認めなかった。子供達や若い人たちの間で、リスク及び健康面での結果に密接に関係することを扱う方法として、学校全体の雰囲気を変えて生徒の健康を増進するという介入は最も実行可能で効率的な方法だ。