研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

AR101(ピーナッツ蛋白)を投与し続けることでアレルギー反応が弱まる

AR101 Oral Immunotherapy for Peanut Allergy.

Randomized controlled trial

PALISADE Group of Clinical Investigators,N Engl J Med. 2018.


【テーマ】

治療方法がないピーナッツアレルギーは、予測不可能かつ時たま生命の危機をもたらすアレルギー反応をもたらすリスクにさらされている患者に、影響を与えている。


【方法】

100mg以下のピーナッツ蛋白(およそピーナッツ粒1/3)でアレルギー症状が出る4-55歳のピーナッツアレルギー患者を選び出し、二重盲検、プラセボコントロールの食物負荷試験の第3層試験を行った。アレルギー反応のある参加者はAR101(ピーナッツ由来の治験用生物学的経口免疫治療薬)またはプラセボを漸増しつつ投与されるプログラムに、3:1の割合でランダムに割り付けられた。参加者の中でこのプログラムを完遂できた人は(例えば300mg/dayを約24週間継続して摂取する)、二重盲検、プラセボコントロールの食物負荷試験をプログラム終了時に実施した。主要な有効判断ラインは、600mg以上の用量をアレルギー症状なく摂取できる4-17歳の参加者の割合とした。


【結果】

551人の参加者がAR101の投与またはプラセボの投与を受け、その内496人が4-17歳であった。治療群の372人中250人(67.2%)、プラセボ群の124人中5人(4.0%)が、食物試験が終了した時点で、600mgをこえるピーナッツ蛋白をアレルギー症状なく食べられるようになった(両群の差63.2%;95%信頼区間53.0〜73.3;P<0.001)。最後の食物試験時点で、最もひどい症状が、中等度レベルだったのは有効薬投与群で25%であり、プラセボ群は59%であった。重度レベルの反応を起こしたのは有効薬投与群で5%、プラセボ群で11%だった。治療介入期間中、4-17歳の参加者の95%以上が介入を受けている間に副反応を起こした。有効薬投与群で軽い副反応が出た人は全部で34.9%で、それと比べてプラセボ群では50.0%だった。中等度の反応に関しては59.7%と44.4%、重症の反応に関しては4.3%と0.8%だった。18歳よりも上の人たちには効果は認められなかった。


【まとめ】

ピーナッツに対する高度なアレルギーを有する子供における経口免疫療法第3層試験において、AR101による治療は、ピーナッツ蛋白を用量依存性の症状をもたらすことなく、またプラセボ群よりも試験終了時の食物負荷試験でピーナッツをとったときにひどい症状が出る可能性を下げることが可能になるという結論に至った。