研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

鼻腔・皮膚の常在菌がアトピー性皮膚炎と関係する

Nasal and skin microbiomes are associated with disease severity in paediatric atopic dermatitis.

Totté JEE,et al. Br J Dermatol. 2019.


【背景】

皮膚の微生物細菌叢の変化はアトピー性皮膚炎を引き起こし、その重症度を決定する。鼻腔内の細菌叢とADの重症度との関係については良く研究されていない。


【目的】

私たちは子供における鼻腔および皮膚の細菌叢とADの重症度との関係性について、特徴を探すことを目的とした。加えて、鼻腔と皮膚の細菌叢の違いと相関関係についても調査した。


【方法】

私たちはADのある患者90人の鼻腔と108人の特定領域の皮膚サンプルを16S-rRNAを用いて断面的に調べた。加えて、皮膚サンプルを用いて黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌に対して定量PCRを実施し、自己診断型の湿疹領域と重症度指数を用いてADの重症度をはかった。


【結果】

細菌叢の状態とAD重症度の間に、鼻腔、皮膚サンプルいずれでも、ブドウ球菌と強い関係性があることをつきとめた(R2決定係数 = 2·6%;P = 0·017 and R2  = 7·0%;P = 0·004)。しかし、鼻腔から検出されたモラクセラなどの、その他の培養されたものも寄与していた。50%の子供の皮膚病変では黄色ブドウ球菌が陽性であったが、その存在と量はADの重症度と関係はなかった。鼻と皮膚は全く別な細菌叢を持つが、鼻にいる菌種と皮膚の菌種との間には相関関係があることが分かった。

 

【結論】

私たちの研究結果で、鼻と皮膚の細菌叢は子供におけるADの重症度と相関し、またブドウ球菌に引き続き、その他の菌種もこの関係性に寄与していることが分かった。