研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

ネーザルハイフローは酸素投与が必要な細気管支炎患児の治療に有用

A Randomized Trial of High-Flow Oxygen Therapy in Infants with Bronchiolitis.

Randomized controlled trial

Franklin D,et al. N Engl J Med. 2018.


【背景】

カニューレを介した高流量酸素療法は、その有効性を示す質の高い証拠が限られているにもかかわらず、細気管支炎の乳児において、ますます使用されるようになっている。集中治療室(ICU)以外での鼻カニューレを介した高流量酸素療法の有効性は明らかになっていない。


【方法】

この多施設無作為化対照試験では、気管支炎を患い、酸素補給療法として、高酸素療法(高流量群)または標準酸素療法(標準療法)を受ける必要がある12か月未満の乳児を割り当てた。標準治療グループの乳児は、その状態が治療失敗の基準を満たしていれば、救助用高流量酸素療法を受けることができる。主要評価項目は、治療の失敗による治療のエスカレーションとした(4つの臨床基準のうち3つ以上を満たした時と定義:持続性頻脈、頻呼吸、低酸素血症、および病院の早期警告ツールによってもたらされた医学的評価)。副次評価項目には、入院期間、酸素療法の期間、三次病院への移送率、ICU入院、挿管、有害事象が含まれていた。


【結果】

分析には1472人の患者が含まれた。治療のエスカレーションを受けた乳児の割合は、標準療法群の23%(733人中167人)と比較して、高流動群では12%(739人中87人)だった(リスク差-11%;95 %信頼区間-15%〜-7%;P <0.001)。入院期間または酸素療法の期間に有意差は認められなかった。各々のグループで、気胸が1例(乳児全体の1%未満)発生した。標準治療群の治療の失敗があった167人の乳児のうち、102人(61%)が高流量救助療法に反応した。


【結論】

ICU外で治療された細気管支炎の乳児の中で、高流量酸素療法を受けた乳児は、標準的な酸素療法を受けたグループの乳児よりも治療の失敗による治療のエスカレーション率が有意に低かった。