研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

ミオイノシトールの投与は乳幼児に効果なし

Effects of Myo-inositol on Type 1 Retinopathy of Prematurity Among Preterm Infants <28 Weeks' Gestational Age: A Randomized Clinical Trial.

Randomized controlled trial

Phelps DL,et al. JAMA. 2018.


【テーマ】

呼吸器障害を抱える乳幼児におけるミオイノシトールの投与に関するこれまでの研究は、未熟児網膜症(ROP)の程度を軽減し、ROPや死亡、脳室内出血の頻度も低下させることを示していた。しかし、その有効性と安全性について調べた大規模な調査は存在しない。


【目的】

在胎週数28週以下の子供において、ミオイノシトールの投与は1型の未熟児網膜症を減少させることに関して、悪い影響があるのか有効なのか調べる。


【デザイン・研究対象】

アメリカの18の新生児集中治療センターで2014年で2014年4月17日から2015年9月4日までに登録された、在胎週数28週以下の子供638人を含むランダム化比較試験で、2016年2月12日までフォローされた。予定していた参加者は1760人で、それで絶対的な死亡および1型未熟児網膜症の7%減少を90%の力で検出できる予定であった。統計的に明らかな高い死亡率がミオイノシトール群で認められたため、今回の試験は早期に終了となった。


【介入】

ミオイノシトール(317人)またはプラセボ(321人)を40-mg/kgで12時間おきに最大10週間投与(最初は経静脈的に、そして食事がはじまってからは経腸的)した。


【Main Outcome】

1型ROPになった場合、または1型ROPになる前に死亡した場合を不良群とした。1型ROPを発症することなく生き残っている場合を良好群とした。


【結果】

638人の子供(平均在胎週数26週、男性50%)で、632人(99%)が試験薬かプラセボの投与を受け、589人(92%)が研究結果を得た。プラセボ群と比較して、ミオイノシトール群では、死亡または1型ROPの発生率が高かった(それぞれ29% vs 21%,respectively;調整リスク差7% [95%信頼区間0%-13%];調整リスク比1.41 [95%信頼区間1.08-1.83],P = .01)。月経後年齢55週までに何かしらの原因で亡くなった人は、18%はミオイノシトール群で、11%がプラセボ群だった(調整リスク差6% [95%信頼区間0%-11%]、調整リスク比1.66 [95%信頼区間1.14-2.43],P = .007)。最大7日間で最終濃度の薬投与を受けている中で、最も多い重度の副作用は、腸の急性炎症(ミオイノシトール6% vs プラセボ4%)、環流異常や低血圧(7% vs 4%)、脳室内出血(16% vs 11%)、呼吸器障害(15% vs 13%)だった。


【まとめ】

在胎週数28週未満の未熟児において、ミオイノシトールによる10週にわたる治療は1型ROPのリスクや死亡率をプラセボよりも下げなかった。これらの発見は未熟児におけるミオイノシトールの使用を支持しないが、しかし早期の試験終了は確定的結果を制限した。