研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

多剤耐性グラム陰性桿菌の血流感染が広がっているが死亡率は大差ない

Multidrug-resistant Gram-negative Bacterial Bloodstream Infections in Children's Hospitals in Japan, 2010-2017.

Aizawa Y,et al. Pediatr Infect Dis J. 2019.


【背景】

子供における多剤耐性(MDR)グラム陰性桿菌(GNB)による血流感染(BSI)のリスクファクターは知られていない。子供におけるMDR GNB BSIのリスクファクターと、それがもたらす結果について評価することである。


【方法】

2010年4月から2017年3月まで、8つの日本の子供病院でGNB BSIの患者が登録された。それぞれの臨床的、微生物学的データが収集された。MDRのGNB BSIであるか、MDRではないGNB BSIかによってリスクファクターと結果を比較した。


【結果】

合計で629件の条件に合致するGNB BSI症例が特定された。平均年齢は2歳(四分位数範囲0.3-8.7)で男性の割合は50.7%だった。94%の患者に基礎疾患が認められた。入院後48時間以上経ってから発生したBSIの割合は76.2%だった。そのうち、MDRが占めたのは、BSI症例の内24.5%だった。MDRの割合は時間が経過しても変化なかった(P = 0.540)。最初のエンピリックな治療が有効な範囲内であった確率は、MDR BSIでは60.4%、non-MDR BSIでは83.4%であった(P < 0.001)。全ての原因を含む発症から28日時点での死亡率は、BSI全体で10.7%、MDR-BSIで13.6%、non-MDR BSIで9.7%であった(P = 0.167)。MDR BSIは独立して以下の要素と関連していた(癌化学療法後30日以内[オッズ比43.90]、年長[オッズ比1.05]、NICUへの入院[オッズ比0.019])。

 

【まとめ】

1/4のGNB BSI症例がMDRになっている。癌化学療法と年長であることが、子供病院におけるMDR GNB BSIのリスクファクターだった。MDRであることは、全ての原因を含む死亡率を上昇させなかった。