研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

けいれん重積状態のセカンドライン治療でレベチラセタムとフェニトインで明らかな差なし

Levetiracetam versus phenytoin for second-line treatment of convulsive status epilepticus in children (ConSEPT): an open-label, multicentre, randomised controlled trial.

Randomized controlled trial

Dalziel SR,et al. Lancet. 2019.


【背景】

子供のてんかん重積状態に対するベンゾジアゼピンによるファーストライン治療が失敗したとき、セカンドラインの治療として、フェニトインは一般的である。しかし、有効であるのは60%であり、重大な副作用も存在する。新しい抗てんかん薬であるレベチラセタムはより早く効果を発揮し、もしかするとより有効で、より受容可能な副作用である可能性がある。私達はフェニトインとレベチラセタムのどちらが子供のけいれん重積状態に対してより優れたセカンドラインなのか判断することを目的とした。


【方法】

オーストラリアとニュージーランドで、非盲検、多施設、ランダム化比較試験を13の救急部門で実施した。けいれん重積状態でファーストラインのベンゾジアゼピンてまの治療が失敗した3ヶ月から16歳の子供が含まれ、コンピュータ生成による置換ブロック(ブロックサイズ2か4)のランダム化シークエンスで1:1に割り付けられた(場所、年齢<5歳以下か5歳以上か>で層別化され、20 mg/kgのフェニトイン投与<静脈投与か20分以上かけての骨内注射か>または40 mg/kgのレベチラセタム投与<静脈投与か5分以上かけての骨内注射か>を受けた)。主要評価項目は研究対象薬の静注が終了してから5分後の臨床的なけいれん運動の停止とした。分析はITT分析で行われた。この研究はオーストラリアとニュージーランド臨床試験登録に記録された。


【結果】

2015年の3月19日から2017年の11月29日まで、けいれん重積状態で救急部を受診した639人の子供を対象として、127人は追跡できず、278人は適格基準を満たさなかった。1人の子供の親から同意が得られず、233人の子供(114人がフェニトイン、119人がレベチラセタムに割り付け)がITT分析の対象として残った。研究対象薬の静注が終了してから5分後の臨床的なけいれん運動の停止は、フェニトインで68人(60%)、レベチラセタムで60人(50%)で認められた(リスク差-9·2% [95%信頼区間-21·9〜3·5];p=0·16)。フェニトイン群の1人の患者は、27病日に出血性脳炎で亡くなった。この死は研究薬によるものではないと考えられた。その他酷い副作用はなかった。


【解釈】

子供のけいれん重積状態に対するセカンドラインの治療として、レベチラセタムはフェニトインより優れているとは言えなかった。