研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

IVIG無効な川崎病にはシクロスポリンを併用しよう!

Efficacy of primary treatment with immunoglobulin plus ciclosporin for prevention of coronary artery abnormalities in patients with Kawasaki disease predicted to be at increased risk of non-response to intravenous immunoglobulin (KAICA): a randomised controlled, open-label, blinded-endpoints, phase 3 trial.

Randomized controlled trial

Hamada H,et al. Lancet. 2019.


【背景】

遺伝学的研究は、川崎病の病因であるT細胞経路を活性化する、上方制御されたカルシウム核因子の関与の可能性を示している。私たちはこの経路をターゲットとする免疫抑制剤であるシクロスポリンが、川崎病の患者における冠動脈異常を防ぐことができるのか、その有効性と安全性を評価した。


【方法】

ランダム化、非盲検、エンドポイントブラインドの試験を日本の22病院で、2014年5月14日から2019年12月27日まで行った。適格の患者はIVIG抵抗性で高リスクだと予想される人であり、これらの人をランダムに、IVIG +シクロスポリン(5 mg/kg/dayで5日間投与)またはIVIGのみ(従来の治療)にリスクスコアと年齢、性別で層別化して割り付けた。主要評価項目は12週間の調査期間における日本基準での冠動脈異常発生とし、評価対象は少なくとも1回研究での薬投与を受けたか、研究機関を少なくとも1回調査期間に受診した人とした。この研究は日本医師会臨床研究センターに登録された。

 

【発見】

私たちは175人の患者を登録した。1人の患者が登録後同意を撤回して除外され、そして(治療群に入っていた)1人は心エコーデータを紛失したため除外された。冠動脈異常の発生率は従来の治療群と比較して、研究治療群の方が低かった(86人中12人[14%]vs 87人中27人[31%];リスク比0·46;95%信頼区間0·25-0·86;p=0·010)。副作用件数には両群で差は認められなかった(9% vs 7%;p=0·78)。

 

【解釈】

最初の治療として、IVIGとシクロスポリンを併用することは、IVIG不応が予想される川崎病の患者において、良好な冠動脈結果をもたらす、安全かつ有効な方法である。