研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

血液検査による21トリソミー検査を事前にしてもしなくても流産のリスクは変わらない

Effect of Cell-Free DNA Screening vs Direct Invasive Diagnosis on Miscarriage Rates in Women With Pregnancies at High Risk of Trisomy 21: A Randomized Clinical Trial.

Randomized controlled trial

Malan V,et al. JAMA. 2018.


【要点】

侵襲的胎児核型分析手法を必要とするケースとそれに関連する流産の数を減らすため、21トリソミーのリスクが高い妊娠第1期の女性に、無細胞DNA(cfDNA)テストがますます提供されるようになっている。この戦略の効果は評価されていない。


【目的】

妊娠第1期の複合スクリーニングで特定された妊娠21トリソミーのリスクの高い女性で、cfDNA検査結果が陽性の場合のみの侵襲的処置(羊水穿刺または絨毛膜絨毛サンプリング)をした場合の流産率と、即時侵襲的検査手順をした場合の流産率を比較すること。


【デザイン】

2014年4月8日から2016年4月7日まで、フランスの57施設で、妊娠第1期のスクリーニング後に21トリソミーのリスクが1/5から1/250の間にある2111人の女性を対象に実施されたランダム化臨床試験


【介入】

cfDNAテストの結果が陽性である場合のみcfDNAテストとそれに続く侵襲的テストを受ける(n = 1034)か、即時の侵襲的テスト手順(n = 1017)を受けるかに、患者を無作為化した。cfDNAテストは、次世代シーケンシングに基づいた社内検証済みの方法を使用して実行された。


【主要評価項目】

主要評価項目は、妊娠24週前の流産数とした。副次評価項目は、21トリソミーのcfDNAテスト検出率を含んだ。主要評価項目は、片側テストを受け、副次評価項目は、両側テストを受けた。


【結果】

無作為化および分析された2051人の女性(平均年齢36.3 [SD5.0]歳)のうち、1997人(97.4%)が試験を完了した。流産率は、8(0.8%)対8(0.8%)でグループ間の有意差はなく、リスク差は-0.03%(片側95%CI -0.68%〜∞;P = .47)だった。21トリソミーのcfDNA検出率は100%(95%CI 87.2%〜100%)だった。

 

【結論】

21トリソミーのリスクが高い妊娠中の女性では、cfDNAスクリーニングを実況した後、cfDNA検査結果が陽性であれば侵襲的検査を実施しても、侵襲的検査単独で実施した時と比較して、24週前の流産の有意な減少をもたらさなかった。この研究は、流産率に臨床的に有意な違いがあるかを検出する能力が不足している可能性がある。