研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

湿疹のアプリの質はまだまだ実用レベルではない

Eczema apps conformance with clinical guidelines: a systematic assessment of functions, tools and content.

van Galen LS,et al. Br J Dermatol. 2019.


【背景】

湿疹は有効な病状モニタリングと患者個々人の指導を必要とする、よくある複雑な皮膚の状態である。湿疹のセルフマネージメントをサポートする目的で作られたアプリの質を評価した研究はない。


【目的】

患者自身あるいはその介護者を対象とした湿疹スマートフォンアプリによる、英語、中国語、スペイン語によるセルフマネージメントの質及び汎用性の評価。


【方法】

2018年7月から2018年11月まで、湿疹アプリのシステム評価を実施した。国際湿疹ガイドラインに準拠した評価基準で評価は実施した。以下の分野が評価された。湿疹特有の教育情報の一貫性と汎用性、湿疹特有の追跡機能の質と汎用性、最も効率の良い原則に基づいた健康情報を反映しているか。


【方法】

全部で98のアプリが評価された。82(84%)は教育的情報提供をするもの、38(39%)は追跡機能のあるもの、13(13%)はその両方の機能を持つものだった。34% (28/82)のアプリは間違った情報を提供しており、特に治療の側面に関することと、湿疹の進行に関することだった。薬物療法に関する国際ガイドラインでサポートされている情報を提供したのはわずか15%(12/82)であり、非薬物療法に関しては16% (13/82)だった。38の追跡機能のあるアプリの中では、82% (31/38)が特有の症状あるいは病気の酷さ、最近の皮膚状態を計測しており、89% (34/38)が局所への使用も含む薬利用の記録をしていた。環境または食物アレルギーに関しては34% (13/38)で記録されていた。教育的情報、追跡機能、健康情報の原則という全ての基準を満たしたアプリは存在しなかった。


【結論】

湿疹アプリはまだ潜在的な力を出し切るに至っていない。湿疹アプリにおける多大な質の面での相違が、健康アプリの質保証の必要性と、患者や介護者への個々人向けのおすすめを作れるように臨床医へガイダンスを行うことの必要性を際立たせている。