研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

血培、抗生剤投与、輸液を1時間以内に終了すると、敗血症による院内死亡率が下がる

Association Between the New York Sepsis Care Mandate and In-Hospital Mortality for Pediatric Sepsis.

Evans IVR,et al. JAMA. 2018.


【要点】

敗血症の小児患者が死亡したことをきっかけに、ニューヨーク州では2013年に州全体の敗血症治療対策が命じられた。命令には、最初の1時間で血液培養、広域抗生物質、および20 mL / kgの静脈内輸液ボーラスを実施することが含まれていた。しかしながら、これらのセットを1時間以内に完了すると結果が改善されるかどうかは不明であった。


【目的】

最初の1時間で小児敗血症検査セットを完了させることと、セット内の個々の要素との間で、院内死亡の観点でリスク調整済み関連性があるか判断すること。


【デザイン】

ニューヨーク州全域の救急部門、入院患者ユニット、集中治療室で、2014年4月1日から2016年12月31日まで実施された州全体のコホート研究。ニューヨーク州保健局に報告された敗血症プロトコルを開始された18歳以下の敗血症および敗血症性ショックの患者1179人が含まれていた。


【要因】

1時間以内に最初の1時間に実施する敗血症セットを完了した場合と、1時間以内に敗血症セットが完了しなかった場合を比較した。


【Main Outcome】

リスク調整後の院内死亡率。


【結果】

54の病院で報告された敗血症患者1179人(平均[SD]年齢7.2 [6.2]歳、男性54.2%、病前は健康な人44.5%、ショックと診断された人68.8%)の内、139人(11.8%)が死亡した。1時間以内に敗血症セットが終了したのは、294人の患者(24.9%)だった。1時間以内に終了した割合は、抗生物質は798人の患者(67.7%)に投与され、血液培養は740人の患者(62.8%)で得られ、輸液ボーラスは548人の患者(46.5%)で完了した。セットに含まれるもの全てが1時間以内に完了すると、リスク調整後の院内死亡率が低くなった(オッズ比[OR]0.59 [95%信頼区間0.38〜0.93]、P = .02、予測リスク差[RD]4.0%[95%信頼区間0.9%〜7.0%])。しかし、セットに含まれる個々の要素のどれか一つを1時間以内に完了させることは、リスク調整死亡率の低下と有意に関連していない(血液培養:OR0.73 [95%信頼区間0.51〜1.06]、P = .10;RD2.6%[95%信頼区間-0.5%〜5.7%]、抗生物質:OR0.78 [95%信頼区間0.55〜1.12]、P = .18;RD2.1%[95%信頼区間-1.1%〜5.2%]、輸液ボーラス:OR0.88 [95%信頼区間0.56〜1.37]、P = .56;RD1.1%[95%信頼区間-2.6%〜4.8%])。


【まとめ】

敗血症治療の対策を実施したニューヨーク州では、1時間以内に敗血症セットを完了しなかった場合と比較して、1時間以内に敗血症セットを完了した場合、小児敗血症および敗血症性ショックによる、リスク調整後の院内死亡率が低くなった。