研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

子供が小さい時に母親を指導することで子供の肥満は防げるかも

Effect of a Responsive Parenting Educational Intervention on Childhood Weight Outcomes at 3 Years of Age: The INSIGHT Randomized Clinical Trial.

Randomized controlled trial

Paul IM,et al. JAMA. 2018.


【要点】

(愚図る小児をなだめるためや何かの報酬として、空腹でない小児に食べ物を与える行動は小児肥満につながりうるが、親の行動を変えるための子育て反応指導の介入は小児肥満の予防に有効か。)

幼児期の急速な成長と体重増加は、後の肥満のリスクを高めるが、成長の軌道を改善する介入が不足している。


【目的】

発達的に適切、迅速かつ条件に応じた反応をすることで、3歳時の子どもの体重の成果につながる、反応の良い子育て介入の効果を調べること。


【デザイン】

279組の初産の母子ペアを対象とした単一施設の無作為化臨床試験で、小児肥満を予防するために設計された子育て反応介入群(140組)と、自宅の安全を守るための介入群(コントロール139組)で比較を実施した。2012年1月から2014年3月までに登録と最初の家庭訪問を終え、3歳までフォローアップを行った(2017年4月までに完了)。


【介入】

研究看護師が、幼児期および研究センターに年一回訪問する際に、4回の家庭訪問を実施した。子育て反応カリキュラムは、摂食、睡眠、対面型の遊び、および感情の調節に焦点を合わせた。コントロール群は安全性に焦点を合わせた。


【主要評価項目】

主要評価項目は、3歳時のボディマス指数(BMI)zスコアとした(zスコア0は母平均を表し、1と-1はそれぞれ平均の上下1 SDを表す)。3歳時のBMIパーセンタイルは、前もって主要評価項目として指定されていた。副次評価項目には、3歳時での過体重(BMIが85パーセンタイル以上、95パーセンタイル未満)と肥満(BMIが95パーセンタイル以上)の有病率が含まれた。


【結果】

ランダム化された291人の母子ペアのうち、279人が最初の家庭訪問を受け、一次分析にかけられた。232人の母子ペア(83.2%)が3年間の試験を完了した。母親の平均年齢は28.7歳で、86%が白人で、86%が個人保険に加入していた。3歳時、子育て反応グループの子供の平均BMI zスコアは低かった(子育て反応グループでは-0.13 vs コントロール群では0.15、絶対差-0.28 [95%信頼区間-0.53〜-0.01]P = .04)。平均BMIパーセンタイルに有意差はなかった(子育て反応グループで47番目vs コントロール群で54番目、平均BMIパーセンタイルで6.9パーセンタイルポイントの減少[95%信頼区間-14.5〜0.6]P = .07)。子育て反応グループの116人の子供のうち、13人(11.2%)が過体重だったのに対し、コントロール群の116人の子供では23人(19.8%)だった(絶対差-8.6%[95%信頼区間-17.9%〜0.0%];オッズ比率[OR]0.51 [95%信頼区間0.25〜1.06];P = .07)。子育て反応グループの3人の子供(2.6%)は肥満であったのに対し、コントロール群では9人(7.8%)だった(絶対差-5.2%[95%信頼区間-10.8%〜0.0%];オッズ比率0.32 [95%信頼区間0.08〜1.20];P = .09)。


【結論】

初産の母子ペアで、コントロール介入と比較して、初期の乳児期に開始された子育て反応介入は、3歳でBMI zスコアのわずかな減少をもたらしたが、BMIパーセンタイルの有意差はなかった。介入の長期的な効果を判断し、他状況での有効性を評価するには、さらなる研究が必要である。