研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

アジスロマイシンを投与すると子供の死亡率がさがる

Longer-Term Assessment of Azithromycin for Reducing Childhood Mortality in Africa.

Randomized controlled trial

Keenan JD,et al. N Engl J Med. 2019.


【テーマ】

 以前の研究でニジェールではアジスロマイシンを2年間にわたって、年2回投与すると、生後4週間までの乳児死亡率がプラセボ群と比較して18%低下することが示された。この低下効果が、投与1回ごとにもたらされているものなのか、薬剤耐性によって効果が減弱していくものなのかは分かっていない。


【デザイン】【研究対象】

 ニジェールでのMORDOR1トライアルに登録された1〜59ヶ月の子供集団594グループを年に2回(計4回)アジスロマイシンを投与する群とプラセボを投与する群に分けた。MORDOR2トライアルでは追加で非盲検化でアジスロマイシンを投与した。もともとの割付群がとちらか知らない調査員によって、年に2回、あらゆる原因による死亡率を評価した。


【Main Outcome】

 MORDOR2トライアルにおいて、アジスロマイシン投与が初だった人(MORDOR1トライアルではプラセボ群であった人)の内91.3±7.2%がアジスロマイシン投与を受け、アジスロマイシン投与が3年目に入る人(MORDOR1トライアルでは介入群であった人)の内92.0±6.6%がアジスロマイシン投与を受けた。もともとプラセボを投与されていた群での死亡率は1年あたり1000人中24.0人、もともとアジスロマイシンの投与を受けていた群は1000人中23.3であり、両者に大きな差を認めなかった。もともとプラセボを投与されていた群が新たにアジスロマイシンを投与されると死亡率が13.3%低下した。もともとアジスロマイシンを投与されていた群で、もう一年投与を継続したときは、最初の2年間と3年目の死亡率に明らかな変化はなかった。


【結果】

 3年目のニジェールでのアジスロマイシン大量投与では(これまでの2年間と比較して、さらに)子供の死亡率を下げる明らかな証拠が得られなかった。もともとプラセボの投与を受けていて、今回アジスロマイシンの投与を初めて受けた子供の死亡率は低下した。

 

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1817213?cookieSet=1