研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

喘息コントロールでSMARTが有望!

Association of Inhaled Corticosteroids and Long-Acting β-Agonists as Controller and Quick Relief Therapy With Exacerbations and Symptom Control in Persistent Asthma: A Systematic Review and Meta-analysis.

Review article

Sobieraj DM,et al. JAMA. 2018.


【要点】

吸入コルチコステロイドと長時間作用型βアゴニスト(LABA)をコントローラーとして使用すること、及び単一維持療法(SMART=単一の長期管理薬(ICS/LABA配合剤)を、そのまま発作治療薬としても使用する治療法)と呼ばれる迅速な症状緩和療法は、持続性喘息の管理のための見込みのある治療レジメンである。


【目的】

持続性喘息患者に対するSMARTの効果について扱った、系統的レビューとメタ分析を処理すること。


【データソースと研究の選択】

OVID、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、およびCochrane Database of Systematic Reviewsを介したMEDLINEのシステマティックレビューのデータベースにおいて、データベースの開始から2016年8月までのもので、2017年11月28日までに更新されたものを対象とした。持続性喘息を持っている5歳以上の患者において、「SMARTを実施する場合」と、「LABAの有無に関係なくコントローラーとしてコルチコステロイドを、緩和作用として短時間作用型βアゴニストを吸入する場合」についてその差を評価していて、今回の研究目的に関する結果について報告されているランダム化比較試験または観察研究を2人のレビュアーで選別した。


【データの抽出と合成】

ランダム分析モデルを使用してメタ分析を実施し、リスク比(RR)、リスク差(RD)、平均差を95%CIと共に計算した。引用スクリーニング、データ抽象化、リスク評価、およびエビデンスレベルの高さは、2人の独立したレビューアによって評価した。


【Main Outcome】

喘息の悪化。


【結果】

分析には16件のランダム化臨床試験(N = 22 748人の患者)が含まれ、そのうち15件はドライパウダー吸入器でのブデソニドとホルモテロールを併用することをSMARTとして捉えていた。12歳以上の患者(N = 22524;平均年齢42歳;14634人[65%]は女性)では、SMARTは、同じ用量の吸入コルチコステロイドに加えてLABAを使用した時と比較して、喘息増悪のリスクを低下させ(RR0.68 [95%信頼区間0.58〜0.80];RD-6.4%[95%信頼区間-10.2%〜-2.6%])、コントローラーとしての高用量コルチコステロイドおよび高用量LABAを使用した時と比較しても、喘息増悪のリスクを低下させた(RR0.77 [95%信頼区間0.60〜0.98];RD-2.8%[95%信頼区間-5.2%〜-0.3%])。コントローラー治療として吸入コルチコステロイド単独を使用するケースとSMARTを比較した場合も、同様の結果が見られた。4〜11歳の患者(n = 341;年齢の中央値8 [範囲4〜11]歳、69人[31%]は女性)において、SMARTは、コントローラーとして高用量コルチコステロイドを吸入した時と比較して喘息増悪のリスク低下させ(RR0.55 [95%信頼区間0.32〜0.94];RD-12.0%[95%信頼区間-22.5%〜-1.5%])

、コントローラーとして同じ用量のコルチコステロイドとLABAを吸入した時と比較しても喘息増悪のリスク低下させた(RR0.38 [95%信頼区間0.23〜0.63];RD-23.2%[95%信頼区間-33.6%〜-12.1%])。

 

【結論】

今回実施した持続性喘息患者のメタ分析では、(長時間作用型βアゴニストの有無にかかわらず)「コントローラーとして吸入コルチコステロイド」および「症状緩和療法として短時間作用性βアゴニスト」を吸入した時と比較して、単一の維持療法および症状緩和療法を活用することは、喘息増悪のリスク低下と関連していた。4〜11歳の患者でのエビデンスは限られていた。