研修医の備忘録

小児科を目指す医師のブログ。1日1abstractを目標に更新中。

気管支拡張症の治療にAMPC/CVAの代わりにAZM使用可能

Amoxicillin-clavulanate versus azithromycin for respiratory exacerbations in children with bronchiectasis (BEST-2): a multicentre, double-blind, non-inferiority, randomised controlled trial.

Randomized controlled trial

Goyal V,et al. Lancet. 2018.


【背景】

酷い増悪傾向はない気管支拡張症の子供に対するファーストラインの広域経口治療として、アンピシリンクラブラン酸が推奨されているが、アジスロマイシンも1日1回投与が便利なために処方されることもよくある。気管支拡張症の小児における急性増悪を伴うランダム化比較試験は、我々の知る限り公表されていない。アジスロマイシンは、気管支拡張症の小児の増悪を解決するために、アモキシシリン-クラブラン酸塩よりも劣らないと仮定した。


【方法】

並行群間、ダブルダミー、二重盲検、非劣性ランダム化比較試験を、3つのオーストラリアの病院と1つのニュージーランドの病院で、2012年4月から2016年8月まで実施した。レントゲン写真上、嚢胞性線維症とは無関係な気管支拡張症が証明された1〜19歳の子供を登録した。悪化の開始に際して、ランダムに子供達をアモキシシリンクラブラン酸(22·5 mg/kg,1日2回)またはアジスロマイシン(5 mg/kg/day)またはプラセボの21日間経口懸濁液投与に割り付けられた。私たちは割り付け群は隠された状態で、順位づけされたブロックランダム化(年齢、場所、原因を元に層別化)を実施した。主要評価項目はper-protocol解析における21日までの増悪の解消(ベースラインへの回帰で定義)とし、非劣勢マージンは-20%とした。増悪期間、次の増悪までの時間、実験室、呼吸器、および生活の質の測定、および微生物学の面を含む、いくつかの副次評価項目に関しても評価を行った。この研究はオーストラリア及びニュージーランドの登記に登録された。


【発見】

604人の子供をスクリーニングし、236人を登録した。179人の子供は増悪し、97人はアモキシシリンクラブラン酸に、82人はアジスロマイシンに割り付けられた。21日までに、アジスロマイシン群の中では73人の内、61人(84%)が増悪を解消できたのに対し、アモキシシリンクラブラン酸群では87人中73人(84%)か増悪を解消できた。リスク差は非劣勢を証明した(-0·3%,95%信頼区間-11·8〜11·1)。増悪期間はアジスロマイシン群と比較してアモキシシリンクラブラン酸群の方が明らかに短かった(中央値10日[IQR 6-15]vs 14日[8-16];p=0·014)。試験薬に対する副作用に関しては、アジスロマイシン群では82人中17人(21%)、アモキシシリンクラブラン酸群では97人中23人(24%)であった(相対リスク0.9,95%信頼区間0·5〜1·5)。


【解釈】

21日までの治療で、子供における非重症気管支拡張症の増悪解消において、アジスロマイシンはアモキシシリンクラブラン酸に非劣勢であることが証明された。ペニシリンに過剰反応する人や服薬アドヒアランスが悪そうな人は、増悪治療に関してアジスロマイシンが選択の一つとなるが、治療失敗のリスク(差は20%以内)や増悪期間が長引くこと、マクロライド耐性を誘発することに関しても比較考慮しなければならない。